出会いのすばらしさを経験してほしい 神村美砂子先生4

先生の意識改革を

壁になっているのは教職員の意識かなと思います。とてもいい先生もいるし、わかってもらえないなと思う先生もいます。管理職もそうです。管理職が変わるだけで、学校の雰囲気はガラッと変わります。支援学級の担任をしていると、親の気持ちがわかるなと思うことがあります。クラスで行事などをするとき、「すいません、お願いします。何かあったら教えて下さいね。できないところは、ルームに持って帰ってしていいですからね。」という感じで、うちの子をお願いしますみたいな、少しへりくだって振る舞うところがあります。もっと、堂々としてればいいのにと思う反面、円滑に動くにはその方がいいんだろうなと思っています。

一昨年の夏、ルームの子が属しているクラスの先生から職員室でお菓子をもらいました。その先生に「次は私が持ってきますね」と伝えたら、その先生が「いいえ、うちの○○がお世話になっていますから」とおっしゃいました。「うちの○○がお世話になっていますから」という言葉を初めて聞きました。普段からそう思っていなければ出てこない言葉です。うちの子と思ってくれていることに、とても感動しました。言葉に出さなくてもそう思っている先生もいらっしゃいます。クラスの先生がうちの子と思っていれば、クラスの子どもたちにも必ず伝わります。

出会いのすばらしさを経験してほしい

私は小・中学生のとき、同じクラスに両手の指が3本ずつの女の子がいました。その子ととても仲がよかったわけでもないし、感動的なドラマがあったわけでもないのですが、その子とのエピソードははっきりと覚えています。たぶん、あの子がいなかったら、今の仕事はしてないだろうなと思います。私はその子と出会ってよかったと思います。そういう出会いを他の子にもしてほしい。出会うということは、その子にとっての権利じゃないかな、出会わないとしたらすごくもったいない。出会うことの素晴らしさを、私がその子と出会ってよかったなと思うように、どの子にも経験してほしいなと思っています。

※今回の記事は2016年2月11日に福岡市で行なわれた講演会「今こそ考えよう 共生(インクルーシブ)教育」の内容から,神村先生の許可を得て抜粋,掲載したものです。


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